汚水の適切な処理を目指して-メガシティーにおける統合的水資源管理-
世界共通のミレニアムゴール「「2015年までに、基本的衛生施設を利用することが出来ない人々の割合を半減する」の達成には、世界経済のけん引役であり、世界人口の半分を占めるアジアの大都市において人口や産業の集中、爆発によって今後益々深刻化する水質汚濁、衛生問題を解決することが、最重要である。
先進国の経験も踏まえながら、解決に向けて必要な方策を、投資、政策、技術、人などの面から考える。
コメント
日本の下水道整備の進捗は、目を見張るものがあります。1960年代からわずか40年程で、大都市の下水道普及率は96%に達し、全国平均も69%に達しました。
北九州市は、1963年に中規模都市五市が合併して誕生した政令指定都市ですが、当時下水道普及率はほとんどゼロという有様でした。それが、2005年には、人口普及率99.8%と概成するまでになりました。
海外からの研修員に、「どうしてこんなに早く整備を進めることが出来たのか?どのような工夫があったのか?」とよく聞かれます。
日本の下水道の普及が進んだ背景として、
1.下水道の整備によりトイレの水洗化という市民生活に密着した便益を提供できたこと。
2.1960年代の水質汚濁や大気汚染などいわゆる公害に対し、行政の行う対策の大きな柱であったこと。
3.経済の豊かさを背景に、国民の環境への意識が高まったこと。
4.国の国庫補助制度や起債制度など、下水道整備を進めるための財政面の仕組みが確立されたこと。
などを挙げて説明しています。
とりわけ、下水道の整備には、膨大な投資が必要となりますが、その財源をどう確保するのか、また、整備後、下水道のサービスを継続的且つ安定的に進めるためには、運営資金をどう調達するのかといった、下水道の運営管理面について、日本の事例を勉強した上で、それぞれの国でどのような仕組みが適切などかをしっかり考えることが必要だと訴えています。
発展途上国からの下水道に関する人材育成のニーズは確実に増加しており、本市では今年度、中国などから約100名の研修員を受け入れる予定です。
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たとえばダッカなどは人口が1250万人(2000年)から2280万人(2015年)に激増するなど、アジアのメガシティでは爆発的な人口増加が進んでいます。ミレニアムゴールでは安全な水へのアクセスを持たない人口も同様に半減することが目標になっていますので、気候条件にもよりますが、水資源の面で大幅な不足が生じるおそれがあります。そのような地域では工業や農業への汚水処理水の再利用も当初から念頭に置いて施設の計画を立てることが必要でしょう。
水資源不足のために未処理下水を農業用水に用い、汚染が起きている例が実際に生じています。
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日本は短期間で上下水道が整備され水質汚濁、衛生問題が解決されましたが、現状を見ると多くの人が上下水道の重要性を認識していないと感じます。そのためこれから上下水道を整備する地域では教育を重視するべきだと思います。
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大都市対策と併行して「周辺地域の対策」が急務だと考えます。それをコンセプトにして、例えば国内の上下水道関連団体等が窓口になって、各々ターゲットを決めてアイデアと基金を募り、官民一体の支援ムードを盛り上げていくことを期待します。
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人と都市の持続可能な発展のために!基本的で適切な排水処理システムとは何かをまとめました。
人が生活すると、し尿やそれを含んだ水と食事や洗濯などによる雑排水の、2種類の排水が発生します。
この排水は、人が安全で衛生的な生活を送るためには、速やかに生活の場から排除され処理される必要があります。このため施設は、基本的衛生施設です。
人工密度の低い地域ではトイレの整備で事足りますが、人が集まって住む都市では、都市の発達の段階に応じた適切な排水管理システムが必要となります。
さらに流域全体では、排水管理システムを組み合わせた流域管理システムが必要です。こういったシステムを整えることが、人と都市が持続的に発展するための大きなカギになります。
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発展途上のメガシティーでは、所得の個人格差が大きく、自立した汚水処理施設を整備する上での障害となっています。低所得層に安全な水と衛生設備を提供するためには、水の分配とし尿の収集が鍵となるのではないでしょうか。水売りやスカベンジャーなど、既存の社会システムをうまく機能させることで、全ての住民がメリットを受けられる仕組みを作りたいものです。
そのための技術開発も不足していますが、現場の水やし尿、ゴミなどに精通している人材の発掘、教育が最大の問題だと思います。
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楠田先生のコメントを受け、日本の下水道事業の政策および投資面での経験を紹介いたします。
産業の成長と都市化により著しく水需要が増した1960年代は、川や海などの水質悪化をもたらしました。このため水質汚濁防止の中心的役割を担う下水道の整備が急務となりました。
特に1970年の第64回国会(いわゆる公害国会)で公害関係法では、下水道法の一部改正が行われました。これにより下水道は公共用水域の水質保全施設であるという位置付けが明確にされました。この間、第1次、第2次の2度にわたる下水道整備五ヵ年計画は僅かな投資額となっていましたが、1971年から第3次下水道整備五ヵ年計画では第2次下水道整備五ヵ年計画の4倍以上の投資額となり、一桁台だった下水道普及率を2006年3月末には69.3%まで引き上げました。
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それぞれの所得レベルに応じて適用可能な汚水処理施設を自立して整備することは、生活の基礎として、必須と考えます。
適用可能技術の選択、必要資金準備、これらに対応できる人材の確保など、議論すべき課題は山積していると思います。
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下水道処理に限らず、中水利用をもっと盛んにすべきだと思います。日本では年間を平均して見れば淡水の量自体が不足しているとは思われません。ただ河川が大陸国家に比べて短く、雨水が簡単に海に流れ出してしまうと言う問題があります。台風は被害ももたらしますが、膨大な量の淡水を供給してくれます。ダムでは吸収し切れない水量はかなりな量になるでしょう。これからは渡良瀬遊水地のような大規模な遊水地を設けて、自然の保全と同時に淡水の保全を考えるべきだと思います。これからは浄水すれば貴重な輸出資源にもなる筈です。都市の雨水も東京都同様地下に溜めて利用法を考えるべきです。資源的意味合いで水を考える時期に来たものと思います。
| by 木村親夫 | 10.28 2007 00:04 | url: |